アイヌ民族党準備会は、アイヌ民族党に名称を変更しました 2011年12月15日 公開

アイヌ民族党 結党の理念と基本政策




<結党の理念>

2007年9月の「先住民族の権利に関する国際連合宣言」採択や2008年6月の衆・参両議院の「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」の採択など、アイヌ民族を取り巻く情勢は大きく変化してきている。また、内閣府に設けられている「アイヌ政策推進会議」では「民族共生の象徴となる空間」の建設や「北海道外アイヌの生活実態調査」に加えて「総合的な施策」についての議論も始まっており、アイヌ民族の権利回復を真正面に据えた議論が行われることが期待される。

しかしながら、こうした議論も、具体的な政策に反映されなくてはならず、そのためには、アイヌ民族の声を直接政治に反映する議会議員の存在が不可欠であると考える。国際情勢をみると、まだまだ満足とは言えないが、国政や地方議会で議席を確保し、自分たちの声を具現化している先住民族がいる。しかし、日本では、アイヌ民族の声が十分政治に反映されているとは言い難い。

そこで私たちアイヌ民族と、アイヌ民族とともに歩む者たちが手をたずさえて「アイヌ民族党」を結成し、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に記されている権利の法制化によるアイヌ民族の権利回復、多文化・多民族共生社会の実現、自然の循環のなかで生かされる(持続可能な)社会の実現を基本政策として、国政や地方議会に私たちの代表を送ることによって、現状の変革を目指すことを決意した。

「アイヌ民族党」は、アイヌ民族のためだけにあるのではない。かつて、抑圧からの解放を叫んで闘ったアイヌの青年・違星北斗が「アイヌと云う新しくよい概念を内地の人に与えたく思ふ」とうたったように、今日、「アイヌ」を掲げ、「アイヌ」とともに歩みながら先住民族のアイヌの思想を具現化することは、日本そして世界の人々のより良い暮らしの実現に必要だと考える。

とりわけ、2011年3月11日の東日本大震災以降、その必要性が増している。今、震災からの復興、原発事故への対応などに取り組みながら、あらためて、私たち一人ひとりが社会や暮らしのあり方を見つめ直し、そして政治のあり方を根本から変えることなしには、私たちに未来はないと強く感じている。

140年のアイヌ民族を取り巻く歴史を振り返ると、私たちが歩む道は決して平坦な道ではないであろう。しかし、一歩でも先に一人でも多くの人びととともに、アイヌ民族の権利回復と多文化・多民族共生社会の実現を図っていきたい。


<基本政策>

1.アイヌ民族の権利回復と教育の充実

  • 「先住民族の権利に関する国連宣言」に記されている権利の法制化

    言語権、土地権、資源利用権、自治権、教育権の保障

    「アイヌ民族庁」の設置、特別審議会設置、アイヌ民族公的代表機関の設置、

  • 「北方領土」返還交渉へのアイヌ民族の参加
  • アイヌ民族が食べる分のシャケ(鮭)、クジラ、イルカの捕獲権の回復
  • 幼稚園から大学までのアイヌ民族教育機関の設置
  • アイヌ民族の歴史と文化に関する理解を深めるための教育の実施

2.アイヌ民族の福祉の充実

  • 歴史を踏まえたアイヌ民族高齢者の生活保障
  • アイヌ民族に配慮した老人施設の設置

3.多文化・多民族共生社会の実現

  • 学校教育におけるバイリンガル教育・多文化教育の実施
  • 地域における日本語教育の充実
  • 外国人学校・民族学校の制度化
  • 永住外国人への地方参政権付与

4.自然の循環のなかで生かされる(持続可能な)社会の実現

  • 脱原発の推進
  • 太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーの利用促進
  • 食の安全保障を目指した農林水産業の再生
  • 環太平洋経済連携協定(TPP)不参加

5.行財政改革の実施

  • 国の借金を未来の子どもたちに残さないための財政再建
  • お金のかかる選挙制度の改革(供託金の金額を下げるなど)